なぜ、本を読むといいのか

忙しく働き、スマホやSNSに囲まれた今の私たちの暮らし。

一日があっという間に過ぎていき、「本を読む時間なんてないよ」と感じる人も多いかもしれません。

移動中はスマホ、夜は動画を見て過ごす日々。

そんな中で、ふと手に取った本を読み切るのは、なかなか難しくなってきました。

それでも私は思うのです。

だからこそ、今の時代にこそ、本を読むことには意味があるのではないか、と。

「本を読むって、そんなに大事なこと?」
「読んだところで、何が変わるの?」

今日はそんな問いについて、考えてみたいと思います。

本を読むことで、世界が広がる

本を読むことの利点の一つは、本を通して自分の世界を広げる旅ができることです。

それは、行ったことのない国の暮らしに触れたり、自分とはまったく異なる考え方に出会ったりする旅です。

ときに、未来の世界だったり、過去の戦争の話だったりもします。

自分が暮らしている場所や、自分の考え方の中だけにいると、どうしても見える世界は限られてしまいます。

でも、本を読むことで、その「限界線」が広がっていきます。

たとえば、遠くの国で起きている出来事や、500年前の日本人はどんな風に生きていたなど。

そんな「遠い世界」に触れることで、自分自身の視野も広がっていくのです。

実際に旅に出ることが難しくても、本が心の中で旅をさせてくれます。

本を読むことで、誰かの人生を追体験できる

本を読むことの二つ目の利点は、「他者の人生を生きることができる」ことです。

私たちは自分の人生しか生きることはできません。

でも、本を読むことで、まるで別の人生を追体験しているかのような感覚を味わうことができます。

戦場にいた兵士の想い、病気と闘った人の苦しみ、子育てする母の苦労と喜び、夢を追いかけた人の情熱。

それらを本を通して体感するとき、私たちは他人の気持ちに寄り添う力 ー「共感力」を育てています。

この共感力は、社会の中で生きていくためにとても大切なものです。

それは他人に優しくするためだけでなく、自分自身を見つめ直す鏡にもなってくれるのです。

本を読むことは、誰かと出会うこと。

そして、自分を深め、共感力を育てることでもあるのです。

本の言葉を通して、心が成長する

本を読むことの三つ目の利点は、言葉との出会いによる「心の成長」です。

美しい言葉、痛みのある言葉、励ましの言葉。

そんな数々の言葉に触れるたび、私たちの心は少しずつ磨かれていきます。

人の感性は、急に育つものではありません。

小さな感動や気づきの積み重ねが、私たちの「心の感度」を育てていくのです。

道端の小さな花に気づいたり、誰かのさりげない優しさに心を打たれたり。

そうした感度は、本の中の言葉を通して育まれていきます。

本の中には、日常会話では使わない言葉がたくさん出てきます。

さまざまな言葉を使って、丁寧に、細やかに表現されているので、本を読めば読むほど、感度が磨かれて心が成長していきます。

本を読むことは、ただ知識を得るだけでなく、「心で感じる力」を養う時間でもあるのです。

ネット情報と本の違い

今の時代、わからないことがあれば、すぐにネットで調べることができます。

それだけで、ある程度の答えや概要が手に入ることも多いでしょう。

とても便利な時代です。

けれど、ネットの情報はどうしても断片的で、表面的になりがちです。

記事は短くまとめられ、見出しだけで流し読みされることも多い。

それに、誰が書いたのか分からない、信頼性があいまいな情報もたくさんあります。

一方、本は違います。

本は、著者が長い時間をかけて調べ、考え抜き、構成し、言葉を選びながら丁寧に書かれたものです。

裏付けのある事実や、実体験に基づいた深い考察が詰まっていて、信頼度が高いのが特徴です。

本には「深さ」と「流れ」があります。

読み進めるうちに、ひとつのテーマについて、さまざまな角度から考えたり、感じたりすることができます。

情報だけでなく、その背後にある背景や価値観、そして著者の思いや温度まで、ページの間からにじみ出てくるのです。

ネットは、「今、知りたいこと」を知る手段。

本は、「自分を深めること」を助けてくれる存在。

どちらも大切ですが、本には、人生の地図を描き直してくれるような力があります。

点ではなく、線として、そして面として世界を感じさせてくれる。

それが、本を読むということなのだと思います。

なぜ「要約」では足りないのか

最近では、本の要約を短くまとめてくれるサービスもたくさんあります。

確かに便利ですし、忙しいときには重宝しますよね。

でも、要約だけでは足りない。

そう私は感じます。

というのも、本というのは「情報」だけではなく、「空気感」や「温度」、「語り口」といった、目には見えない部分こそが大切だからです。

著者がどんな想いでその本を書いたのか、どんな時代背景があったのか。

その文脈を感じながら読んでこそ、読書の本当の価値があるのです。

たとえば、旅行もガイドブックを読むだけでは、その土地の風や匂いはわかりませんよね。

同じように、本も要点だけではなく、「流れ」や「余白」を味わってこそ、心に残る一冊になるのだと思います。

本の朗読サービス「Audible」のすすめ

「そうはいっても、本を読む時間が本当に取れないんです」という方もいるかもしれません。

そんなときに私が勧めたいのが、Amazonの本の朗読サービス「Audible(オーディブル)」です。

通勤時間や家事をしている合間、寝る前のリラックスタイムなどに、ながら聴きできるので、忙しい日々でも本を読むことができます。

耳から物語や知識が入ってくる体験は、思いのほか心に残るんです。

Audibleはプロのナレーターが朗読してくれるので、とても聴きやすく本の内容がスッと頭に入ってきます。

特に小説は、登場人物の声色を変えて、臨場感たっぷりに読んでくれるので、まるで映画館の中にいるような没入感で小説の世界に入り込めますよ。

もちろん紙の本や電子書籍にはそれぞれ良さがありますが、耳で聴く読書も立派な「読書体験」です。

「読まなきゃ」と思うとハードルが上がってしまいますが、「聴いてみよう」なら気軽に本を読むことができます。

Audibleは聴き放題のサブスクサービスで、最新の本や、本屋大賞になった話題作もあり、常に興味のある本を提供してくれます。

そして普段は読まないようなジャンルの本も聴き放題なら気軽に聴けるので、自分の世界を広げるきっかけにもなります。

本を読みたいけど時間がないという人は、是非試してみてください。

本を読むと「人を思いやる」ことができるようになる

本を読むことで、「世界が広がる」「誰かの人生を追体験できる」「心が成長する」ことを書いてきました。

たぬき堂では、これらは最終的に「人を思いやること」に繋がると考えます。

「どうして私はこう感じるのだろう」
「この登場人物の気持ち、少しだけわかる気がする」

そんな対話が心の中で生まれてくるとき、私たちは本当に大切な何かを見つけているのだと思います。

答えはすぐに見つかるわけではありません。

でも、問いを抱きながらページをめくるその時間こそが、心を豊かにする「種まき」のようなものなのです。

たくさんの本を読むことで蒔いた種が少しずつ育ち、やがて「人を思いやる心の花」が咲くのだと思います。

おわりに

「最近、本を読んでいないな」
「忙しくて、気がついたらスマホばかり見ていたな」

そんなあなたにこそ、たぬき堂はそっと言葉を贈ります。

どうか本のページをめくってみてください。

きっと、心にふれる言葉があなたを待っています。

そして、もし迷ったときは――

たぬき堂の本棚をのぞいてみてくださいね。

きっと、あなたにぴったりの一冊が、そっと待ってくれているはずです。

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