こんにちは、「まなびや たぬき堂」のたぬきです。
「個性を大切に」「あなたらしく生きよう」という言葉は一度は聞いたことがあると思います。
でも「個性って何だろう?」「自分らしさって、どうやって見つけるんだろう?」と思うことありませんか?
今回は、「個性」や「アイデンティティ」の意味について、一緒に考えてみたいと思います。
個性は「目に見えるもの」じゃない
私たちは、しばしば「個性」と聞くと、見た目の派手さや、言動のユニークさ、特別な才能やセンスを思い浮かべてしまいます。
たとえば、ファッションで自分らしさを表現したり、SNSで「他の人とは違う自分」を演出してみたり。
確かに、それも一つの表現です。
でも、それが「個性」なのでしょうか。
外から見えるものは、あくまで一部。
本当の個性やアイデンティティは、もっと目に見えない、静かで、奥深いところにある気がします。
個性は「最初からあるもの」じゃない
私たちは、つい「自分らしさ」を“探しに行こう”としてしまいます。
けれど、たぬき堂ではこう考えます。
個性とは、生まれつき持っているものではなく、経験や学びの中で少しずつ磨かれていくものではないか、と。
たくさん悩んで、たくさん迷って、失敗もして。
その中でしか見えてこない「自分」があるのです。
むしろ、たくさんのものを吸収したあとに、ようやく「これは自分に合っている」「これは自分らしくない」とわかってくる。
それは、料理の味付けがだんだん自分の舌でわかるようになるのと、少し似ているかもしれません。
「特別」である必要なんてない
よく、「自分には個性がない」と悩む人がいます。
でも、それは「目立つ個性がない」と言っているだけのこと。
そもそも、個性とは「特別であること」ではなく、その人なりの視点や考え方、感じ方が自然とにじみ出てくるものです。
たとえば、人の話をじっくり聞ける人。
気配りが自然にできる人。
静かにものごとを深く考える人。
どれも派手ではないけれど、それぞれに美しく、尊い個性です。
アイデンティティは「何を持っているか」ではなく、「どう生きたいか」
私たちは、ついアイデンティティを「肩書き」や「成果」で語ってしまいがちです。
「〇〇大学卒です」「△△会社に勤めてます」「資格を持ってます」
もちろん、それも自分の一部ではあります。
でも、アイデンティティとは、「どんな肩書きを持っているか」ではなく、「どんな生き方を大切にしているか」にこそ現れるのではないでしょうか。
たとえば、正直でありたい。
やさしくありたい。
誰かの力になれる人でいたい。
そんな「生き方の軸」が、アイデンティティだと思うのです。
個性やアイデンティティは「選んだ経験」の中から育つ
たぬき堂の考えでは、個性やアイデンティティは、経験の積み重ねによって育ちます。
たとえば、旅をした先で出会った景色や人の言葉。
本を読んで心が揺さぶられた瞬間。
仕事で悩んだり、誰かに助けられたりした出来事。
そういったひとつひとつが、じわじわと心に染み込み、やがて「自分らしさ」というカタチをつくっていくのです。
だから、「個性を出そう」と無理に思う必要はありません。
むしろ、いろんなことに関わって、自分の感情が動く瞬間を大切にすること。
そこから自然と、あなたらしさはにじみ出てきます。
昔はアイデンティティという概念がなかった
でも、私は最近こうも思うのです。
もしかすると「私はこれだ」と言い切る必要なんてないのではないか。
日本では、戦前まで「アイデンティティ」という概念がそれほど重視されていませんでした。
「主君のため」「家のため」「国のため」に生きるのが当たり前だった時代、自分らしさという意識はほとんどなかったのです。
それが戦後、欧米から個人主義の考え方が入ってきて、「自分とは何か」「アイデンティティとは何か」が強調されるようになりました。
たしかに、それによって個人の自由は増しました。
でも一方で、「自分らしく生きなきゃ」と思えば思うほど苦しくなってしまう人もいます。
「本当の自分」が分からない、と悩み込んでしまうこともあるのです。
無我(むが)の教え
そんなとき、私が心に浮かべるのが、仏教の「無我(むが)」という教えです。
無我とは、「自分という固定された存在はない」という考え方。
私たちの心も体も、日々変化していくもの。
環境や人との関係によっても変わっていく。
無我の教えで考えると、「これが自分だ」と一つに決めつける必要はないのだという一つの答えに行き着きます。
一つに決めつける必要はないと思うと、肩の力が抜けませんか。
自分を探し続けることに疲れたときは、「私はこうでなければ」と思い込むのではなく、「私はその時々の流れの中で、自然に形づくられていく存在なんだ」と、受け止めてみてもいいのかもしれません。
たくさんの経験や学びを通して、その時々の自分が、少しずつ現れてくる。
それが「個性」であり、それが「自分らしさ」なのだと思います。
答えはいつも、自分の中にある。
けれど、それは「決まったかたち」ではなく、「変化しながら深まっていく」ものなのだと思います。
おわりに たぬき堂からあなたへ
「個性がない」と感じるとき、「自分らしさがわからない」と迷うとき。
それは、あなたが「自分を深く見つめている」証でもあります。
本当の個性は、表面的な色や形ではなく、人生の中で大切にしてきたもの、そこに込められた想いや歩みの中に、ちゃんと息づいています。
私たちは皆、誰とも同じで、誰とも違う。
そして、私たちは日々刻々と変わっているのです。
今日のあなたと明日のあなたは同じではありません。
だから自分を「個性」という一つの枠に当てはめる必要はないのです。
あなたは、今日という一日を大切にして、ひとつひとつ経験を積み重ねていってください。
では、今日もまた、新しい一歩を進んでいきましょう。